
不動産を売るとき「できるだけ高く、できるだけ早く売りたい」と思うのは当然のことです。
でも、いちばん大事なのは「納得して売れるかどうか」。
そのためには、以下の2つが必要です。
- 自分の希望や状況を整理する
- 信頼できる会社と進めていく
この記事では大切にすべきポイントを整理していきます。
不動産売却で失敗しないための注意点
初めての不動産売却は、わからないことだらけです。
「できるだけ高く売りたい」
「できれば早く売りたい」
このようなご希望があっても、注意点を知らないまま進めてしまうと後悔することもあります。
ここでは、実際の現場でもよくある「売却時の落とし穴」を、3つのポイントにしぼってお伝えします。
注意点①:売却の目的と希望条件を明確にする
売却を考えるとき、「なぜ売るのか・いつまでに売りたいのか・どのくらいで売れたらいいのか」を整理しておきましょう。
たとえば、以下のような目的によって売却の進め方は変わってきます。
- 住み替えを考えている
- 相続などで現金が必要になった
- 別の目的で資金をつくりたい
売りたい時期についても、「すぐに売りたいのか・時間をかけてじっくり売りたいのか」によって、価格の決め方や販売方法が違ってきます。
価格については、希望金額と最低ラインを決めておくと落ち着いて判断しやすくなります。
注意点②:「高額査定」と「囲い込み」のリスクを知る
相場よりも高すぎる査定額や、両手仲介を狙った「囲い込み」に注意してください。
たとえば、実際の相場よりも高い査定を出しておきながら、契約後になって「なかなか売れないので、そろそろ値下げしませんか?」と提案してくるケースもあります。
また、売主と買主の両方から仲介手数料を得たいがために、他の不動産会社からのお客様を断る「囲い込み」をおこなう会社もあります。
Q
なぜ囲い込みはダメなの?
囲い込みがあると、買主の幅が狭まり、売却まで時間がかかったり、価格を下げざるを得なかったりすることがあります。
査定をお願いする際は、金額の高さだけで判断せず、以下の2点を確認しておきましょう。
- 「なぜこの金額なのか」をきちんと説明してくれるか
- 他社のお客様にも紹介してくれる体制があるか
注意点③:進め方に安心できる不動産会社を選ぶ
価格や売却期間だけでなく「進め方」も、不動産会社選びでとても大切なポイントです。たとえば、以下の2点を確認してみましょう。
- どれくらい問い合わせがあったか連絡してくれる
- 内見の反応を連絡してくれる
これがあるだけで、売却の進み具合がわかり、不安を感じにくくなります。
また、会社の都合で売却を急がせたり、両手仲介にこだわって他社との連携を避けたりするような対応があると、納得のいく売却にはつながりません。
納得いく売却のために自分の希望を確認する方法
納得して売却を進めるためには、以下の2点を整理しておきましょう。
- なぜ売るのか
- 何を大事にしたいのか
自分の希望や条件をはっきりさせておくと、不動産会社とのやり取りがスムーズになり、より自分に合った提案を受けやすくなります。
ここでは、「売る理由の整理」と「優先したいことの考え方」の2つの視点から、売却前に確認しておきたいポイントをお伝えします。
売却する理由を整理する
「なぜ売るのか」は、売却の進め方を決めるうえでとても大切なポイントです。理由によって、売るタイミングや価格の考え方が大きく変わってきます。
| 売る理由 | 考え方 |
|---|---|
| 住み替え | 新しい家を買うスケジュールとの調整が必要 |
| 資金調達 | 期限と必要な金額に合わせて売り方を考える |
| 相続した物件の処分 | ご家族の意見や税金のことなども考慮しながら進める |
理由がはっきりしていれば、不動産会社にも状況が伝わりやすく、より的確なアドバイスが受けられます。
優先順位を決める
売却にあたっての希望はいくつかあると思います。でも、すべてを同時に叶えるのは難しいです。そのため、何を一番大事にしたいのかを、あらかじめ決めておきましょう。
例として、以下の2つの考え方ができます。
- 新しい家を買う予定があるなら期限が最優先
- 老後の資金づくりが目的なら売却価格が最優先
売却後の暮らしやお金のことまで含めて考えておくと、「どこまでなら妥協できるか」が見えてきます。
不動産会社選びの注意点

不動産を売るときに、どのような会社に相談しますか?
ここでは、以下のような視点から、信頼できる不動産会社を見極めるポイントをお伝えします。
- 査定にきちんと根拠があるか
- 担当者の対応が誠実かどうか
- 信頼できる姿勢か
- 売主の為の売却をしてくれるか
安心して任せられる相手が見つかれば、分からないことも気軽に相談でき、不安なく売却を進めやすくなります。順番に確認していきましょう。
「査定額」だけで選ばない
査定額の高さだけで会社を選ぶのではなく、「なぜその値段になるのか」の説明がしっかりしているかを確認しましょう。
「うちだったら高く売れます」
「○○万円で買うお客さんがいます」
といった話を持ち出す会社には注意が必要です。そんな都合の良い買主が、ちょうど現れているケースはほとんどありません。
もし相場よりも高い査定を出す会社があれば、その根拠を聞いてみてください。もし以下の2点を説明してくれるなら、信頼できる可能性が高いです。
- 近所の成約事例との比較
- 今出ている売り物件との違い
反対に、根拠が出てこない会社は避けたほうが良いです。
「営業担当者」の質を見極める
3つの質問をすることで、営業担当者が信頼できる人かどうかを判断できます。
| 質問内容 | 確認できること |
|---|---|
| この物件のデメリットや売るときの心配な点は何ですか? | 正直にリスクを話してくれるか。 |
| 売却活動の進め方や、途中の報告はどのようにおこないますか? | ・計画を立てているか・まめに連絡をくれるか |
| 近所での売却事例を教えてください | 地域のことをよく知っているかどうか |
これらの質問に対して、あいまいな答えしか返ってこなかったり、良いことばかり言ったりする担当者は避けたほうが良いでしょう。
会社の「姿勢」をチェック
不動産会社を選ぶ際には、売主の利益を第一に考えてくれる姿勢があるかどうかを見極めましょう。
たとえば、両手仲介(買主も自社で見つけること)にこだわりすぎて、他の会社との連携を避けるような対応をする場合、売却のスピードや条件に悪影響が出ることがあります。「自社で買主を探します」といった提案が、自社都合なのか、それとも売主の利益を考えた上での提案なのか、しっかり見ておきましょう。
また、媒介契約には「専任媒介」「専属専任媒介」「一般媒介」の3種類があり、それぞれに特徴や向き不向きがあります。
売主のことを一番に考えてくれて、媒介契約の種類についてもきちんと説明してくれる会社を選びましょう。
売却活動中の注意点
不動産の売却は、契約を結んだあとからが本番です。活動が始まると、それまで見えていなかった課題や、想定しなかった提案を受けることも出てきます。たとえば、以下の3つがあります。
- 「この価格で売れる」と言われたのに、すぐに値下げを勧められた
- 思っていたような広告が出ていない
- 売れるまでの見通しがはっきりせず不安になる
ここでは、売却活動の途中で起きやすい3つの落とし穴と、それぞれにどう備えるかをお伝えします
「高すぎる売出価格」は注意
高い査定額を提示されたものの、あとから急に値下げを提案されるケースがあります。これは、契約をとるために相場よりも高い価格を提示しているのです。
最初から適正な価格で始めていれば売れていたかもしれません。
このような事態を避けるためには、はじめに出された査定額について「なぜこの金額なのか?」をしっかり確認することが大切です。
「広告掲載不可」「申込あり」は囲い込みのサインかも
「水面下で検討中のお客さんがいて、もうすぐ申し込みが入るかもしれません」
「他の会社には紹介しなくても大丈夫です」
そんな話があったときは、囲い込みの可能性を疑いましょう。対策としては、任せきりにしないこと。以下の点をご自身でも確認してください。
- レインズにはきちんと登録されているか
- 販売図面は登録されているか
- 広告はどのように出されているか
- 他社からの問い合わせに対応しているか
ご自身で確認できなくても、「どんな広告を出していますか?見せていただけますか?」と聞くだけでも、囲い込みの抑止力になります。
売却期間と価格は基本的に不確定
不動産売却は、早くても3ヶ月以上かかるのが一般的です。「いつ売れるのか、いくらで売れるのか」は、あらかじめ予測することはできません。
不動産は市場環境や景気の影響を強く受ける商品です。どれだけ条件の良い物件であっても、買い手が現れるタイミングには運や流れが大きく関わってきます。
これらのコントロールできない要素が多いことを理解したうえでスケジュールを立てておきましょう。
「高く売れます」の真実
「うちなら高く売れますよ」と言われると、つい期待してしまうかもしれません。でもその言葉の裏には、他社より高い査定額を出して、専任契約を取りたいという意図があることもあります。
実際にはその金額で売れず、「反応がないので、そろそろ値下げを…」と持ちかけられることも。その会社が本当に高く売ってくれるのかどうかは、過去の売却実績や、どんな売り方をするのかを具体的に聞いて判断しましょう。
