
― 購入時は問題なくても、売却時に発覚するケース ―
不動産の売却相談を受ける中で、
「買ったときは問題なかったのに、今は住宅ローンが組めない」
という物件に出会うことがあります。
特に多いのが、
平成一桁台(1990年代前半)に建てられた中古戸建です。
購入当時はOK。でも今はNG?
新築当時や購入時には、
- 特に指摘されなかった
- 住宅ローンも普通に組めた
という物件でも、いざ売却しようとすると
「違反建築」と判断されてしまうケースがあります。
建築確認と検査済証の仕組み
建物を建てる際には、次の流れがあります。
- 建築前に
「このような建物を建てます」という
建築確認申請を役所に提出 - 建物完成後に
「この内容で建てました」という
完了検査を受ける - 問題がなければ
検査済証が交付される
この検査済証が、
建物が法律どおりに建てられている証明になります。
住まいとしては全く問題ありませんので、
違反建築になかなか気づきません。
よくある違反建築のパターン
実際に多いのが、次のようなケースです。
- 建築確認では 2階建て
- 実際に建っているのは 3階建て
- 建ぺい率・容積率をオーバー
- 検査済証がない
この場合、建物は違反建築物件となります。
違反建築で起こり得る、もう一つのリスク
違反建築と判断された場合、
住宅ローンが使えないこと以外にも、
行政(特定行政庁・建築主事など)から
是正指導や是正命令が出る可能性があります。
例えば、
- 違反部分の是正(減築・撤去)
- 使用制限
- 将来的な建て替え時の制限
などが求められるケースもあります。
実際にすぐ命令が出ることは多くありませんが、
「指摘されてもおかしくない状態」
という点は、知っておく必要があります。
なぜ住宅ローンが使えないのか
登記簿を見ると、
新築当時は住宅ローンが利用され、
抵当権も設定されています。
しかし現在、新たな買主様が住宅ローンを利用しようとすると、
「違反建築は担保評価ができない」
として、
都市銀行やネット銀行の住宅ローンが使えない
という判断になることがほとんどです。
※一部の高金利金融機関では利用できる場合もあります。
現金のみ物件になると、なぜ価格が下がるのか
違反建築と判断されると、
その物件は「現金購入のみ」が前提となります。
すると、
- 住宅ローンを使える一般の買主様が対象外になる
- 購入できる層が大きく限られる
- 買主様は「リスクを織り込んだ価格」で検討する
という状況になります。
その結果、
住宅ローンが使える物件と比べて、
売却価格はどうしても安くなってしまうのが現実です。
これは、物件の価値が急に下がったというより、
「買える人が限られることによる市場原理」だと、考えていただくと分かりやすいと思います。
売却はできないのか?
結論として、売却自体は可能です。
- 建て替え時に
「今より建物が小さくなる」ことを理解してもらう - 現金購入であることを前提にする
- 行政(特定行政庁・建築主事など)から
是正指導や是正命令が出る可能性がある
これらを買主様が理解・了承していれば、
所有権移転登記も問題なく行えます。
昔はスルー、今はダメ
新築当時は見逃されていた、指摘されなかった内容でも、
現在は建築基準や金融機関の審査が厳しくなっています。
そのため、
「昔は大丈夫だったけれど、今はダメになっている」
ということが、実際に起こります。
そしてこの事実は、
売却を進める段階で初めて発覚するケースがとても多いのです。
まとめ
違反建築かどうかは、見た目だけでは分かりません。
- 検査済証の有無
- 建築確認内容と現況の違い
- 住宅ローンが使えるかどうか
- 行政から是正を求められる可能性
これらを、売却前にきちんと確認することが重要です。
売却の方法や価格設定は、
「知らなかった」だけで大きく変わってしまうことがあります。
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ミカタ仲介グループ
代表 大越 琢弥
